世界観

2023-03-02

お店の外から

Cafe&Bar Stellanautは昼はカフェ、夜はバーとして営業している。

街外れにひっそりと佇むその姿を見た者も少なくはないはずだ。 どこにあるかと聞かれれば、誰もが口ごもるにも関わらず、行きたいと思えばいつだって行くことができる。

晴れた日なら店先にはモト・グッツィのV7が置かれていることが多い。 それを目印にしている客も多いようだ。

この店は客を選ぶ。基準はシンプルだ。 「18歳以上であり、紳士淑女であること」

故にか、ここに訪れる客は名のある者も多い。 そうした者たちが執事(バトラー)や秘書(セクレタリー)のお小言から逃れ憩いの場にしているのだ。 それに、紳士淑女の集いとあらば、歓談を楽しむにもこの上ない。

このお店に来てまで肩書に縛られたい者などいないだろう。 マスターも客たちも、新たな客の身分を聞き出そうとすることもない。 「紳士淑女であること」は身分などではなく、ただ「紳士淑女らしく振る舞うこと」が求められているだけなのだ。

扉に手をかければ、新たな客を歓迎する涼やかな鐘の音が響くだろう。

お店の中へ

カフェタイムとバータイムでまるで違う姿を見せる店内へと入れば、大きなマホガニーの一枚板でできたカウンターの向こうに並べられた様々な酒瓶、コーヒー、そして紅茶に目を奪われるだろう。

店内のレイアウトは変わってなどいないはずだが、白く明るい照明と窓から入る日光に照らされた昼と、薄暗いオレンジの光に包まれた夜ではまるで別の店のようだ。

昼間はあまり見かけないが、夜であれば短髪のマスターと、店の隅の席に座る少し派手な格好をした少女の姿を見ることができるだろう。

マスターは名前を訪ねてもマスターであるという以上の答えは返ってこない。 「はるかみ」と名乗る少女もこちらはこちらで関係者のように見えるが、「ただの常連」としか答えない。

カフェタイムには酒類を出すことはしないが、バータイムは酒類以外を頼むこともできる。カウンター奥にこだわりの伺えるコーヒーや紅茶だけでなく、緑茶やハーブティも注文できる。 カクテルに使うためにジュースも揃えているから、それらを注文することも可能だ。

食べ物は基本的におつまみの類が少しある程度ではあるが、軽食がほしければサンドウィッチとスパゲッティが用意されている。 なかなかの味で、これを楽しみに訪れる客もいるという。

店内は歓談に興じやすいよう、少し変わった席の配置となっている。 客たちの話題は実に様々だ。他愛のない天気の話や趣味の話をする者もいれば、ときには悩みごとを打ち明ける者もいる。

ふと口を閉じて耳を澄ませば、うっすらと音楽が聴こえてくるだろう。 マスターはピアノジャズが好きなようだ。

噂話

少女を、「店の屋根に座って星を見ている姿を見た」という噂がある。

どうやら少女にも、何か秘密があるようだ。